医師が海外で働く方法
医師が海外でキャリアを築く方法は一つではありません。目的やキャリアステージによって、以下のようなルートが存在します。
臨床留学
海外の病院でレジデントやフェローとして臨床研修を受ける方法です。最も一般的なのは米国でのレジデンシープログラムへの参加ですが、英国やオーストラリアなどでも受け入れ制度があります。現地の医師免許取得が前提となるケースがほとんどです。
研究留学
海外の大学や研究機関でリサーチフェローとして基礎研究や臨床研究に携わる方法です。臨床留学と比べて医師免許の取得が不要なケースが多く、比較的ハードルが低いとされています。期間は1〜3年程度が一般的です。
国際機関での勤務
WHO(世界保健機関)、国境なき医師団、JICA(国際協力機構)などの国際機関やNGOで医療活動に従事する方法です。公衆衛生や国際保健の知識が求められ、臨床業務とは異なるスキルセットが必要とされています。
海外の日本人向けクリニック
海外在住の日本人向け医療施設で勤務する方法です。シンガポール、バンコク、ロサンゼルスなど日本人が多い都市に存在し、日本の医師免許をベースに現地の許可を得て診療するケースがあります。
主要国の医師免許制度
米国:USMLE(United States Medical Licensing Examination)
米国で臨床を行うにはUSMLEの合格が必要です。試験は以下の3段階で構成されています。
- Step 1:基礎医学(2022年よりPass/Fail制)
- Step 2 CK:臨床知識
- Step 3:臨床実践(レジデンシー中に受験可能)
合格後、レジデンシーマッチングを経て研修プログラムに入る流れとなります。日本の医学部卒業者はIMG(International Medical Graduate)として扱われ、マッチング率は年度や専門分野によって異なりますが、30〜50%程度とされています。
英国:PLAB(Professional and Linguistic Assessments Board)
英国で臨床を行うにはGMC(General Medical Council)への登録が必要で、PLABテストの合格が主要なルートです。
- PLAB 1:MCQ形式の筆記試験
- PLAB 2:OSCE形式の実技試験
合格後、Foundation Programme相当のポジションから臨床経験を積むのが一般的です。英語力はIELTS 7.5以上が目安とされています。
豪州:AMC(Australian Medical Council)
オーストラリアで臨床を行うにはAMCの試験合格とメディカルボードへの登録が必要です。
- AMC CAT(Computer Adaptive Test):MCQ形式
- AMC Clinical Examination:臨床試験
英語力はIELTS 7.0以上(各セクション7.0以上)が要求されます。オーストラリアは医師不足の地域があるため、地方での勤務を条件とした優遇制度も存在します。
海外の医師年収比較
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続きを読む →各国の医師年収は、専門分野、経験年数、勤務地域によって大きく異なりますが、おおよその目安は以下の通りとされています。
米国
- プライマリケア:約2,500万〜3,500万円程度
- 専門医(外科系):約4,000万〜6,000万円程度
- 専門医(内科系):約3,000万〜5,000万円程度
米国は医師の年収が世界的に見ても最も高い水準にあるとされていますが、レジデンシー期間中は年収600万〜800万円程度と低く、また医学教育ローンの返済負担も考慮する必要があります。
英国
- GP(家庭医):約1,500万〜2,000万円程度
- コンサルタント(専門医):約2,000万〜3,000万円程度
NHS(国民保健サービス)で勤務する場合の給与はやや抑えめですが、プライベート診療を併用することで収入を増やすケースもあります。
オーストラリア
- GP:約2,000万〜3,000万円程度
- スペシャリスト:約2,500万〜4,500万円程度
生活水準とワークライフバランスの良さから、人気の高い移住先の一つとされています。
シンガポール
- 公立病院勤務:約1,500万〜2,500万円程度
- プライベートクリニック:約2,500万〜5,000万円程度
海外転職のメリット
- 年収が大幅に向上する可能性(特に米国)
- 世界水準の医療技術・研究に触れられる
- 国際的な視野と人脈の獲得
- 多様な症例の経験
- 語学力の向上
- 帰国後のキャリアにおける差別化
海外転職のデメリット
- 医師免許取得までの準備期間が長い(2〜5年程度)
- 試験対策の負担が大きい
- 言語・文化の壁
- 家族の帯同に伴う生活環境の変化
- 日本での専門医キャリアの中断
- ビザ取得の不確実性
- 医療訴訟のリスク(特に米国)
必要な語学力の目安
臨床留学の場合
- TOEFL iBT:100点以上が目安
- IELTS:7.0〜7.5以上が目安
- 医療英語の実践力(患者とのコミュニケーション、カルテ記載、プレゼンテーション)
研究留学の場合
- TOEFL iBT:80点以上が目安
- IELTS:6.5以上が目安
- 論文読解・執筆能力、学会発表能力
語学力は渡航前に可能な限り高めておくことが推奨されていますが、現地での生活を通じて向上する面も大きいとされています。医学英語に特化した学習教材やオンラインコースも多数存在します。
帰国後のキャリアへの影響
プラスの影響
- 海外の先端医療技術・知識を持ち帰れる
- 英語での診療能力が外国人患者対応に活きる
- 大学や研究機関でのポジション獲得に有利になる場合がある
- 国際学会でのネットワーク
- キャリアの希少性(差別化要因)
マイナスの影響
- 日本の医療制度や最新の診療ガイドラインへのキャッチアップが必要
- 留学期間中の日本での専門医更新が困難なケースがある
- 人脈の断絶(医局を離れた場合)
- 年齢に対する日本でのポジションとのミスマッチ
まとめ
医師の海外キャリアは、準備に時間とコストがかかる一方で、年収の向上や国際的な医療経験の獲得といった大きなリターンが期待できる選択肢です。臨床留学、研究留学、国際機関など複数のルートがあり、自身の目的やライフステージに合った方法を選ぶことが重要とされています。
まずは情報収集から始め、必要な試験や語学力の準備を計画的に進めることが、海外キャリア実現への第一歩です。
ご注意
- 本記事の情報は 2026年5月 時点のものです。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。
- 年収・待遇等の数値は編集部の調査・推計に基づくものであり、実際の条件は個人の経験・実績・勤務先によって異なります。
- 特定のサービスや企業を推奨するものではありません。転職の判断はご自身の責任で行ってください。
- 体験談は個人の経験に基づくものであり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。
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