眼科は、医師の中でも開業率が高い診療科の一つとして知られています。手術需要の安定性、比較的高い収益性、ワークライフバランスの取りやすさなどが、その背景にあるとされています。本記事では、眼科医の転職やキャリア戦略について、年収レンジや求人動向を交えて解説します。
眼科の特徴
高い開業率
眼科は、診療科別の開業率ランキングで常に上位に位置しています。厚生労働省の医療施設調査によると、眼科の診療所(クリニック)数は全国で約8,000施設前後とされ、眼科医の相当数が開業医として活躍しています。開業率が高い理由としては、以下が挙げられます。
- 比較的少人数のスタッフで運営可能:内科や整形外科と比較して、必要なスタッフ数が少ない傾向がある
- 入院設備が不要な場合が多い:多くの手術が日帰りで行えるため、無床診療所での開業が可能
- 高い収益性:白内障手術などの手術収入が安定している
- 患者の年齢層が幅広い:小児の近視から高齢者の白内障まで、幅広い患者層を対象にできる
手術需要の安定性
眼科の手術需要は、高齢化社会の進展に伴い安定的に推移しています。特に白内障手術は、国内で年間約140万〜160万件程度行われているとされ、最も件数の多い外科手術の一つです。加齢に伴う白内障の有病率は70代で80%以上とも言われており、今後も需要の減少は考えにくい状況です。
当直・緊急呼び出しが比較的少ない
眼科は、他の外科系診療科と比較して、夜間の緊急対応や当直の頻度が低い傾向があります。外傷性の眼科救急はあるものの、他科に比べると頻度は限定的であり、ワークライフバランスを重視する医師にとって魅力的な診療科と言えます。
眼科医の年収レンジ
勤務医の場合
眼科の勤務医の年収は、施設の種類や経験年数によって異なりますが、おおむね以下が目安です。
- 大学病院・基幹病院:年収800万〜1,500万円程度(手術件数による加算あり)
- 一般病院:年収1,200万〜1,800万円程度
- 眼科専門病院:年収1,500万〜2,500万円程度(手術実績によって変動)
眼科の勤務医年収は、外科系の中では平均的な水準ですが、手術件数に応じたインセンティブが設定されている施設では、高収入を得ている医師もいます。
開業医の場合
眼科の開業医は、診療科別の開業医年収ランキングで上位に位置することが多いとされています。
- 手術を積極的に行うクリニック:年間売上1.5億〜3億円程度。院長報酬は4,000万〜8,000万円程度
- 外来中心のクリニック:年間売上6,000万〜1億円程度。院長報酬は2,000万〜3,500万円程度
手術を行うかどうかで収益性が大きく異なるのが眼科の特徴です。白内障手術1件あたりの保険点数は約12万〜15万点(片眼)であり、日帰り手術で1日3〜5件をこなすクリニックも少なくありません。
勤務医vs開業のキャリアパス
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- 高度な症例を経験できる:硝子体手術、角膜移植など、クリニックでは扱いにくい症例を担当できる
- 研究・教育に携われる:大学病院では臨床研究や学生教育に従事できる
- 経営リスクを負わない:患者数の変動や経費の心配が不要
- チーム医療:同僚との連携や相談がしやすい
開業のメリット
- 収入の大幅な向上:手術件数と経営次第で勤務医の数倍の収入が見込める
- 診療スタイルの自由度:自分の理想の診療を実現できる
- 勤務時間の裁量:自分で診療日数や時間を決められる
- 資産形成:医療法人化により税務上のメリットを享受できる
キャリアパスの一例
- 初期研修(2年)→ 眼科専門研修(4年)→ 専門医取得
- 基幹病院で手術経験を積む(3〜5年)
- 手術件数が安定したタイミングで開業を検討(30代後半〜40代前半)
- または、眼科専門病院やチェーンクリニックの雇われ院長として転職
白内障手術・レーシック・ICLの需要動向
白内障手術
白内障手術は眼科の基幹手術であり、今後も安定した需要が見込まれます。近年は多焦点眼内レンズの普及により、選定療養の枠組みで差額部分を患者が自費負担するケースが増えており、クリニックの収益向上につながっています。1眼あたりの多焦点レンズの追加費用は20万〜40万円程度が相場です。
レーシック
レーシック手術は2000年代に大きなブームとなりましたが、近年は件数がやや減少傾向にあるとされています。その背景には、ICL(眼内コンタクトレンズ)の台頭や、合併症に対する懸念の広がりなどがあります。ただし、依然として一定の需要はあり、特にスポーツ選手や職業上の必要性がある方からの需要は堅調です。
ICL(眼内コンタクトレンズ)
ICLは近年急成長している分野です。レーシックと異なり角膜を削らないため可逆性があり、強度近視にも対応できることから、若年層を中心に需要が拡大しています。自由診療で1眼あたり30万〜45万円程度の価格帯が一般的であり、クリニックにとって収益性の高い施術です。
眼科転職で重視すべきポイント
手術件数
眼科医にとって、手術件数は最も重要な転職判断基準の一つです。特に以下の点を確認しましょう。
- 年間の白内障手術件数
- 硝子体手術や緑内障手術の実施状況
- 術者として執刀できる機会がどの程度あるか
- 指導体制の有無(経験が浅い場合)
設備
眼科は医療機器の進歩が著しい分野であり、設備の充実度は診療の質に直結します。
- 手術顕微鏡の機種・年式
- OCT(光干渉断層計)、眼底カメラなどの検査機器
- フェムトセカンドレーザーの有無
- 電子カルテとの画像連携
患者層
どのような患者層が多いかによって、必要なスキルセットや働き方が変わります。
- 高齢者中心:白内障・緑内障・加齢黄斑変性がメイン
- 小児:近視進行抑制(オルソケラトロジーなど)、斜視・弱視治療
- 若年〜中年:屈折矯正手術(ICL・レーシック)、ドライアイ、コンタクトレンズ処方
地域別の求人状況
都市部
都市部では眼科クリニックの競争が激しく、特に新規開業は立地選びが重要になります。一方、勤務医の求人は大学病院、総合病院、眼科専門病院で一定数あり、特に手術実績のある眼科医の需要は高いとされています。
地方
地方では眼科医が不足している地域が多く、特に手術ができる眼科医の需要は非常に高いとされています。地方の病院では、手術日に近隣の患者が集中するため、効率的に手術件数を積み上げられるメリットがあります。年収面でも都市部より高い傾向があり、年収2,000万〜3,000万円以上を提示する求人も見られます。
特に需要が高い地域
- 北海道・東北地方の中核都市
- 山陰・四国の郡部
- 九州の離島・へき地
これらの地域では、眼科医1名の着任がそのまま手術待ち時間の大幅な短縮につながるケースもあり、地域医療への貢献度も高くなります。
まとめ
眼科は、手術需要の安定性、高い開業率、比較的良好なワークライフバランスなど、多くの魅力を持つ診療科です。転職やキャリアの方向性を考える際は、手術件数、設備、患者層、地域の需要などを総合的に評価することが重要です。特に手術スキルの向上は、勤務医・開業医いずれのキャリアパスにおいても、年収やキャリアの選択肢を広げる鍵となるでしょう。
ご注意
- 本記事の情報は 2026年5月 時点のものです。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。
- 年収・待遇等の数値は編集部の調査・推計に基づくものであり、実際の条件は個人の経験・実績・勤務先によって異なります。
- 特定のサービスや企業を推奨するものではありません。転職の判断はご自身の責任で行ってください。
- 体験談は個人の経験に基づくものであり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。
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